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店舗業務効率化SAASスタートアップLerettoによるサイト管理システムサービスとは?
ーまず最初にLeretto様のサービスについてお話しいただけますでしょうか。
辰巳:LerettoはGoogleマップやtwitter、facebook、instagram、ホームページなどありとあらゆる集客媒体を一元管理するシステムである、SaaSのクラウドシステムを開発販売してる会社です。
googleの検索エンジンで「恵比寿 ランチ」「東京 居酒屋」「東京 歯医者」などと地域名プラス何かの業種を調べると、googleマップが出てきます。
そこから人が集客されているんですが、そういった人々の検索コードが自社のポータルサイトからGoogleマップやSNSなどから遷移をしている状況が今、起こっています。
その中、店舗はとしてはどんどん増えてくる媒体を使いこなして集客をしていかねばならない。店舗数が増えれば増えるほど、工数がすごいかかってしまうという課題を解決するための、業務効率化をするシステムが我々のサービスです。
Googleマップを管理するのがGoogleマイビジネスなんですが、今、「店舗の改ざん」という問題が上がってきています。Googleマップには、情報の修正を提案する機能があるんです。「店舗名違いますよ」「営業時間違いますよ」「電話番号違いますよ」みたいな変更の提案が誰にてもできるんです。これがいくつか貯まると勝手に改ざんされてしまうという設計になっており、この機能を利用して、悪質な人たちが悪さをしているんです。
その結果、Googleマップ上の営業時間が変わってしまい、クレームになったり、行ってみたら営業していなかった、と言った問題が起きています。
特に重大な問題が起きているのは銀行さんです。今、海外の銀行で起きている問題なんですが、銀行の電話番号が改ざんされ、振り込め詐欺に使われてしまっているんです。そのため銀行さんや金融機関さんからかなりの問い合わせが来ています。
我々のシステムはGoogleさんと正式に連携をしてますので、もし仮に改ざんが起きたとしても防止する機能を持っています。店舗が多い会社様ですと改ざんされていないかを毎日チェックすると思うんですけども、その工数も減らすことができ、かつ、人力作業によるヒューマンエラーがなくなります。
元々は、ホームページや食べログ、ぐるなびであったりポータルサイトを上位表示させるSEO対策という領域が流行りましたが、Googleが2~3年前ぐらいにルールを変え、SEO領域の上にGoogleマップを設置したんです。今調べると、3店舗しか出てこないような状態になっていますが、「すべて表示」を押すと一つ一つのページが出てきます。ここからの集客が今、かなり成果を上げています。この領域の事をマップエンジンオプティマイゼーション=MEOといいます。

我々は最初、googleマイビジネスページの運用代行の会社としてスタートしました。1ページ1ページのアカウントを最適化させるとビジネスです。一店舗あたり、3万円ぐらいで運用代行をしてましたが、30店舗以上の店舗になってきますと、こういったアカウントの管理を外注すると非常にコストが多くかかってしまう、という課題がありました。
30店舗以上の運営をするお店からすると、このアカウント対策をコストを削減するために内製化しようという選択肢を考えられるんですが、本業ではないためどうしてもリテラシーの壁にぶつかってしまうんです。外注しても高いし、内製化してもできないし、、、と右往左往をしている狭間に大型店舗様がいたことから、ここに商機を見出しました。主に30店舗以上の運営をする会社様をターゲットに、MEO対策やSNS対策ができる内製化システムを立ち上げましたた。
強み弱みが違う二人が組み合わさったら孫正義にもなれるかもしれない!
ー会社を立ち上げられたのはいつになるんでしょうか?
今、3期目なので2年とちょっと前に立ち上がった会社です。実は最初は、宴会の幹事代行サービスでスタートしました。元々、商社に勤めていたので大統領の接待や会食の幹事をひたすらやっていた経験からビジネスマンのお店探しプラットフォームを最初つくろうとしたんです。残念ながらこれはコロナの影響でいったんクローズしました。
ー共同経営者として起業に至った経緯をお話しいただけますでしょうか。
辰巳:Lerettoは私と共同代表の秋山の共同経営の会社です。私と秋山は出身大学が同じでして、大学4年生の就活の時に出会いました。当時は就活を一緒にしていて、秋山が銀行に行き、私が商社に行く事になりました。その後も仲が良かったことから、社会人2年目の時にルームシェアをしたんです。
2年間ルームシェアを共に過ごす中で、お互いに「起業したい」、と言う共通の想いがあったんです。ただ若いから、なかなか一人でやるのも現実的には厳しい。ですが、一人では孫正義にはなれないかもしれませんが、お互い強み弱みが違うこの二人が組み合わさったら孫正義になれるかもしれない。そんな想いが共鳴し、二人で起業をする事になりました。
ー起業をしたいと思った動機や背景みたいなのはあるんでしょうか?
父が勤めていた会社が倒産したという経緯があり、倒産したで社員の方たちが不幸な目に遭ってしまったのを見ていて、「サラリーマンでは自分の努力と自分の将来が一致しない」というのをその時にすごく感じたんです。
自分の人生を自分でコントロールする職業は何かという軸で高校生ながらに考えていました。「それだったら経営者だろう」と、高校2年か3年の時に経営者の道を思い始めたました。指定校推薦で早稲田大学の経営システム工学科というとこに合格したんですが、それも「理系の経営者を育てる」とパンフレットに書いてあるのを見てここだ!と直感で進学を決めたんです。
ー起業するにあたって、今のビジネスを柱に決めた経緯はなんだったんでしょうか。
若くして成功するためには、自分たちが一番課題感を持った領域にしようと言うことにフォーカスしました。「自分たちがペルソナになれば、自分たちに向けたサービスを作れるので、成功するだろう」と言うような想いではじめ、一番最初に選んだのが「食」。「ビジネスマンのお店選びの課題を解決するサービス」でした。
共同創業者の元銀行員の秋山が銀行員時代に会社の宴会の幹事をひたすらやっていたことと、私が商社時代に幹事をひたすらやっていたこと。その双方ともお店を見つけるのに非常に苦労をしていました。
銀行であれば例えばビールの銘柄を指定されないといけなかったり、個室のお店を探さないといけなかったりなど、制約が結構あって大変なんです。厳しいお店選びを社会人時代に経験したので、「そこに悩んでる若手ビジネスマンはたくさんいるだろう。」と言うことで、ビジネスマンに最適なお店が探せる食べログみたいなサービスをスタートさせました。
立ちはだかる採用の壁とマネジメントの壁|解決の鍵はミッションバリュー

ー起業に立ちはだかった壁はどのようなものがありましたか?そしてまたその壁をどのようにして乗り越えてきたのでしょうか?
一番難しかったところが人の採用でした。我々の力不足のせいもあったんですけども、なかなか会社の文化にマッチする方の採用ができておらず、人がなかなか育ちにくい環境だったため、人のマネジメントで一番の課題を感じてました。人が雇えないということは、イコール、ビジネスも後押しできないと言うこと。ずっと我々共同経営者の二人だけでやっててもビジネスは発展しないので、どうしたら人がちゃんと育つか、チームの目標に向かって全員が同じ方向を向いて事業を後押しできるかっていうところを非常に悩んでいました。
そこをどうやって解決したかと言うと、会社のミッションバリューを最初からこだわって設定したことにより解決しました。
今、ユーザーベースの代表である稲垣さんが投資家に入っていただいているんですけれど、稲垣さんが元々共同経営をやられてたというところがあったので、「どうやって人のマネジメントの問題を解決すればいいですか」という相談をしたところ、「ミッションバリューを設定しろ」、と言われました。会社が目指す方向(ミッション)と、バリューを設定し、とにかくそれを言い続けることをしましたら、会社に文化が生まれ、その文化にあった人が入ってきました。今では新卒のメンバーが四人ぐらいいるんですけれど、彼らが主力メンバーとなって会社を後押ししてくれています。
今ではメンバーは30名になっています。
ルームシェア時代の思想と共同創業者の強みと価値観が詰め込まれたミッションバリュー
ー創業時の壁を乗り越えるポイントとなったミッションバリューはどのように決めたのでしょうか?
基本的にはミッションは僕と秋山が原体験で作りたかったものの共通項をあぶり出して作っています。もともと私が商社時代に空港のビジネスに携わったので「インフラ」と言うものが一つキーワードでした。
秋山も銀行ってある意味金融のインフラであると言うところで、我々が携わったインフラ=人から必要とされるような基盤を新しいテクノロジーで作り続ける会社にして我々が携わったインフラビジネスのように人々を幸せにしよう、と言う想いからこのミッションを作っています。
バリューについてですが、ルームシェアをしていた時にかなりうまくいっていたので、このノウハウをエッセンスとしてバリューに反映しています。
「利他主義でいこう」では、ルームシェアしているとゴミをどっちが出すか問題が出てくるんですが、「気づいた方が利他的にやろう」というところで人の心を思いやる所、何か相手が困った時に助ける思想を取り入れたものです。「揉めた時は必ず正直であれ」では、「オープンに打ち明けようね」というところを反映しています。
また、辰巳&秋山各々の強みを多くバリューに入れてます。なのでバリューの要素としてはルームシェア時代うまくいった思想と辰巳&秋山の強みをミックスした形でバリューを作っています。
責任感持って、最後まで結果にこだわっていくのは私の得意分野であり、秋山でしたら、「まずやってみろ」まずは立ち止まるより動いてそこから考えようと言う行動思想が強みですね。二人とも、お客様の理想から、「必ず人のためになることをやろ」という視点から「お客様の理想から入れ」と言ったバリューができています。
人材確保がスケールの一手
ー今のビジネスモデルをどう作られてきたのか。サービススケールまでの経緯などをお聞かせいただけますでしょうか
MEO対策サービスから当初はじめたんですが、そこから内製化するためのシステムにアップデートするとなると、どうしてもエンジニアが必要となり、いろいろ探したところ長谷川と言う今のCTOに参画してもらいました。
システムを作るとなると営業もエンジニアもお客様をサポートするカスタマーサクセスチームも必要ですし、裏方を回す請求や人事といったバックヤードの人たちも必要となってきました。システムを一つ作るにあたっていろんな人たちが必要であることに気がついて、そこから大量採用をしました。twitterで20名近く採用したので、弊社の採用コストは今まで0円なんです。秋山と辰巳でフォロワーが65,000人いるんですが、起業と同時になんかのために役立つだろうとtwitterを始め、毎日地道に1投稿以上続けていた結果、今ではそれぞれ3万人以上超えるフォロワーを確保してます。1回投稿すると30人とか募集が集まったりと、影響力を持てるようになりました。それによって人の採用が加速されたことがスケールポイントの一つです。
二つ目のスケールポイントが資金調達です。今年、2020年の5〜6月に実施をしました。プレシリーズAラウンドで6600万円ほどの調達をしました。初期のエンジェル投資家の方たちからご紹介をしていただいたり、もともとあった人脈を使いながら会社のシナジーに合う人、応援してくれる人で資金を出してくれる人。そういった観点から探しました。
接客業におけるシステム管理工数の課題を解決したい!

ー実際に人も集まり資金もあるけど確保でき、今年いよいよサービスをローンチされましたが、具体的な内容をお話しいただけますでしょうか。
."Canly」というサービスのリリースを7月27日にリリースをし、同時にtwitterとPRTIMESを使って拡散したところ、うわっと問い合わせが来て100件くらいのを獲得したことが、かなり成功の要因かなと思ってます。
リリース開始2ヶ月で3,000店舗を超える受注があり、有名なとこで言うとプロントさんであったり叙々苑さんであったりイオン系列のイオンさん、イオンファンタジーさんであったり、てもみんさんなどにご利用いただいています。また最近リリースを出した東急百貨店との連携など、大きい会社さんに導入頂いております。
ー「Canly」を導入された企業さんはどういったところに課題を持って、導入を決められているのでしょうか?
一番は媒体管理が大変になってきているという点ですね。コロナも一つ後押しした要因になるんですけども、緊急事態宣言が始まって営業時間がコロコロ変わっていたと思うんです。特に飲食店さんがそうだと思うんですけが、営業時間の変更って結構大変なんです。ホームページにログインして営業時間を変え、Googleマップにログインして営業時間を変える。しかも店舗数が1000店舗あったら1000回それぞれ変える状態が続くということで、マスターデータにデータを入力すればワンクリックで営業時間の変更を全媒体に更新される我々のシステムに注目いただいたのだと思います。
このような業務の効率化がまず一つ大きな要因だと思ってます。二つ目はDX化の流れみたいなところが後押ししてると思います。
口コミのようなものが各媒体でそれぞれあると思うんですけど、口コミの活用方法や口コミに対する返信にどう向き合えばいいのか、という問題を抱えている店舗さんも多く、システムを導入することで効率的に口コミの返信ができたり、その口コミの活用方法としてもCanlyに注目をしてくれたんじゃないかなと思ってます。
ー「Canly」を作るにあたって、どういった社会課題を意識したのでしょうか?
媒体の管理工数の問題が非常に大きかったので、接客業としては現場にどれだけ時間を投下できるかが勝負になってくるため、システム管理の時間は極力減らしてもらいたい、との想いで作りました。
正直、店舗ビジネス業界が搾取されるような構造になってるんですね。ノウハウがないと言うところで、外注も結構高かったりとか。社内にマーケティングノウハウが落ちていないと言う点も、我々がもともと幹事代行サービスをやっていた時に感じた課題でした。ITのリテラシーの向上をさせてあげたいというところも正直思ってました。なので弊社のシステムを導入することによって、店舗内の社員がIT知識を身につけて育って独自でマーケティングも考えられるようになる育成も含めて導入をされているのだと思ってます。
スタートアップのスケールを後押しするアクセラレーター

ー現在に至るまでアクセラレーターって言ったものを活用されたことはありますか?
前身となる前のサービスでリコーのアクセラレータプログラムに採択されました。そのサービス自体は先でもお話ししたようにコロナ禍によりクローズしたのですが、アクセラレーターを通して思ったのが、大企業の支援が受けられる点は、非常に良かったと思いました。大企業さんなのでリソースはありますし2~3人ぐらいの方が担当について弊社のサービスを考えてくれたり、相談に乗ってくれた点は非常に大きかったですね。
今回Canlyを導入頂いてる東急百貨店さんも実はアクセラレータープログラムのプロセスの過程でお話をさせていただいて、導入していただくことになりました。
東急百貨店を中心にリコーさんであったりいろんな店舗に関わりのある当事者や会社さんがどんどんアクセラレーターとしてスタートアップ支援をされているので、そういったところには常に顔を出しながらビジネスの拡販のために頑張っていきたいと思ってます。
アクセラレータープログラムのポイントは巻き込み力
ーアクセラレータープログラムの活用ポイントなどはありますでしょうか?
どれだけ人を巻き込めるかと言うところが一つポイントになってきます。大企業側もアクセラレーターを開催した手前、しっかりスタートアップにコミットしようと思ってますが、支援をする一方で、やはり本業があるんですよね。本業がある中で時間を割いて、我々みたいなスタートアップに支援をしてくれるという形なので、スタートアップ側としては受動的ではなく、どれだけ能動的に社員の人たちに「手伝って手伝って」って言えるかが、正直かなり分かれ目になってくるのではないかと思ってます。
我々がやったこととしては、飲み会を開催しました。「40名くらい来てください」ということで飲み会を開催して、その中で仲良くなって社員さんに「ここの分野を手伝ってください」とコミュニケーションをとっていきました。
アクセラレータープログラム開催側の社員の方はじめ、仲介を取っていただけるゼロワンブースターさんみたいなアクセラレーター専門会社のスタッフさんを含めて、全体を巻き込んでいったと言うのが経緯になっています。TOPを含めてどれくらい巻き込めるかが重要なのではないでしょうか。
日本一のプロダクトを目指して
ー今後御社が成し遂げたい目標や叶えたい未来について最後お聞かせください。
冒頭申し上げた通り、ミッションとしては次世代のインフラを作り続けるということで、店舗ビジネスの基盤となるようなシステムを作り続け、店舗ビジネスの関係者の方々に使っていただき、彼らが接客に集中できるようなサービスを提供したい。システムを使う事によって、削減できる業務を減らし、労働の時間を接客に集中させてもらいたいと思ってます。
Canlyっていうシステムは飲食店さん、美容室、カラオケ、ドラッグストアさん含めた店舗の皆様にとって、素晴らしいシステムになってるってと言う事は自信を持って言えますので、年内にはまず1万店舗。1年以内には日本一のプロダクトにしようと考えております。
ー是非Crewwの方でも応援していきたいと思います。ありがとうございました。

代表取締役社長
2015年 早稲田大学理工学部卒業。双日株式会社に入社。与信・事業投資の審査、
国内外の空港M &A を経験。2017年に米国公認会計士試験合格。Leretto共同創業者。
Twitterフォロワー数36,000人(https://twitter.com/maamorun)。
GoogleマイビジネスやSNSなど媒体を一元管理する「Canly(カンリー)」を展開中(https://jp.can-ly.com/)。