Table of Contents
・スタートアップとの協業で、生活習慣病の改善と、ワーキングマザー支援の両方を実現
・ロケーションギャップを乗り越え、円滑なコミュニケーションを実現
・2018年以降、スタートアップとのオープンイノベーション数は二桁に
スタートアップとの協業ノウハウを持つCrewwに着目

オープンイノベーションの推進を大きな柱の一つとして
――日本生命様がアクセラレータープログラムを導入した理由と、どんな社会課題の解決を目指したのかについて教えてください。
関 日本生命は2018年に、人口減少や超高齢化社会、経済の低成長といった社会課題に向き合い、「人生100年時代」をリードする新しい保険商品や、新しい社会の仕組みを創造したいと考え、イノベーション取組みを推進するための事業部を新設しました。日本生命社内にはないソリューションやアイデアから新たな価値を創出する必要があると考え、オープンイノベーションの推進を大きな柱の一つと位置付けました。
ただ、スタートアップとの協業経験はなく、自社でアクセラレータープログラムができるようなリソースもノウハウもなかったので、Creww(クルー)のプログラムを導入し、サポートを受けながら進めました。
※Crewwとは:国内最大級のオープンイノベーション支援サービスを運営する。「大挑戦時代をつくる。」をビジョンに掲げ、挑戦のためのプラットフォームを運営している。スタートアップ、企業、自治体、個人を問わず、事業創出に関する様々なニーズに対応したサービスを提供している。
スタートアップの応募に際して、掲げた3つの事業領域
スタートアップの応募に際して、掲げた事業領域は3つ。1つは、人生100年時代の健康を支えるヘルスケアや予防医療、介護支援、睡眠改善、食の改善といった領域です。
2つ目は、新しい保険の形として、Fintechやブロックチェーン、デジタル保険などの領域。そして、3つ目が、頑張る人を応援するための、女性のキャリア支援や育児支援、働き方改革といった領域です。
この3つの柱に応募いただいたのは、約100社のスタートアップで、そこから実証実験に進んだのは5社、最終役員プレゼンに進んだのは今回ご紹介するシェアダインを含めた3社でした。日本生命の約1100万人の個人のお客様と、21万社の法人のお客様という、顧客基盤に魅力を感じてくれたスタートアップが多かったですね。
スタートアップとの協業で、生活習慣病の改善と、ワーキングマザー支援の両方を実現

保険会社として世の中に新しい価値を提供したい
――シェアダインを採択した理由と、実証実験の内容について教えてください。
large field シェアダインは、管理栄養士や調理師、レストランシェフなど、さまざまな経験・資格を持つ出張シェフが、食材の買い出しから調理まで一気通貫で、料理を作り置きしてくれる斬新なサービスを提供している会社です。
我々が掲げた1つ目と3つ目の領域に当てはまっていて、シェアダインと食生活を改善できる仕組みを作れたら、保険会社として世の中に新しい価値を提供できるのではないかと思いました。
そこで、2つのターゲット層に対して実証実験を実施。1つは、大阪で糖尿病予防プログラムを受けている社員に対して、出張シェフに糖尿病予防に効果のあるメニューを作ってもらい、味や継続性、食生活の改善につながるかどうか、そしてビジネス化の可能性を探りました。
もう一つは、東京丸の内で働くお子さんがいる女性社員を中心に、シェアダインの出張シェフが作る料理の味やラインアップ、値段に対してアンケートを実施しました。
2020年春には資本提携を締結
結果はどちらもかなり好評で、たとえば、糖尿病予防プログラムを受けている社員からは、「単身赴任で食事は外食やコンビニ弁当ばかりだけど、シェアダインを活用すれば医師のアドバイスを守れる。継続できそう」という前向きなコメントが多数ありました。
加えて、ワーキングマザーからも、「シェフが作ってくれる1週間分の作り置きが、材料費と技術料を含めて1万円かからないなら活用したい」という声をたくさんもらえたんです。
この、生活習慣病予備軍の食生活改善と、ワーキングマザー支援の両方に手応えを得られたことで、シェアダインとの協業は一気に加速し、2020年春には資本提携を締結するに至りました。
現在はオリジナルメニューの開発や、コロナ禍の飲食店料理人を応援するキャンペーンとして、シェアダインとコラボしたSNS企画などを実施し、本格的な事業化を模索しています。

コロナ禍で大きな打撃を受けている飲食店から、出張シェフとして登録する料理人が増えており、さらにテレワークの普及によって利用する側のニーズも多様になっているので、さまざまなアプローチができるのではないかと思っています。
ロケーションギャップを乗り越え、円滑なコミュニケーションを実現

――スタートアップと組む上で、大変だったことはありましたか?
large field スタートアップとは「使う言語が違う」、「スピード感が違う」というのは、アクセラレータープログラムを導入するタイミングでCrewwから聞いていました。
So,スタートアップにとって生命線となる時間を無駄にしないよう、速いレスポンスを心がけるだけでなく、こちらからも随時提案しながら円滑なコミュニケーションを図りました。結果、シェアダインは実証実験も出資もとんとん拍子で進んだのだと思います。
関 アクセラレータープログラムには東京と大阪から合計30名の社員に参加してもらいましたが、大野さんのレスポンスの速さはダントツでしたね。
large field 私は大阪で勤務しているため、東京に拠点を置くシェアダインとは、最初からロケーションギャップがありました。でも、食の改善は自分自身に最も必要なことだと思っていましたし、このサービスを必要とする人は世の中にごまんといるだろうと、ワクワクしながら取り組んでいたので、さまざまな壁を乗り越えられたのだと思います。
シェアダインが実現させたいビジョンと、私の感じていた課題が一致し、共感できたことが大きかったのかもしれません。
2018年以降、スタートアップとのオープンイノベーション数は二桁に

――日本生命は、今後もスタートアップとの協業は継続していくのでしょうか?
関 もちろんです。我々の本業である保険以外の領域、たとえば健康や働き方、生活基盤の改善、金融などの領域でもマネタイズできるようになるためには、これまで保険会社がアプローチしづらかった若年層や60代以上の高齢層等にも幅広い商材・サービスでアプローチする必要があります。そのためには、スタートアップとの協業は欠かせません。
実際、2018年のアクセラレータープログラムを皮切りに、出資や協業を始めたスタートアップが二桁にのぼっているんです。年間3〜4件の検討を重ねながら、スタートアップとのコラボレーションを増やし、新しい価値を創出したいと考えています。
――これからアクセラに取り組む事業会社に向けて、アドバイスをお願いします。
関 シェアダインは最後の役員プレゼンの場を経て本格的な協業が決まり、出資につながったのですが、スピーディーにトップのコミットメントを握れた一番の理由は、シェアダインの社長から協業にかける想いを直接語ってもらったことだと思うんですね。
当たり前の話ですが、弊社の社員が協業担当者としての立場でビジネスモデル等を語るより、覚悟と思いのある起業家の方が直接語る方が、圧倒的に伝わります。我々の様な既存の会社は、ともすれば役員層に対して社外の方がプレゼンをする、ということに多少の心配を抱く方が多いかもしれませんが、「これまでとが違うこと」を積極的に受入れたことこそが、いま思えば成功のポイントになったような気がします。アクセラでうまくいかないと悩んでいる事業会社の人は、こういったポイントが参考になるかもしれません。
加えて、協業は単にビジネスモデルの良し悪しだけで判断するのではなく、お互いにどこまでコミットできるのか、情熱を持ってやり遂げられるのかがとても重要。双方が同じ熱量を持ってコミットすることが、スタートアップとの協業を成功に導くと思いますよ。
4/27(火)ウェビナー開催
タイトル:スタートアップとの協業を成功に導くコツ|Innovator`s Academy vol.8
「100年先も、大切な人の想いをいちばん近くで支える」をキャッチコピーに、人生100年時代を支える事業共創パートナーを募集した、日本生命アクセラレーター。スタートアップとの協業は初めてだったが、採択された出張シェフによる作り置きサービス「シェアダイン」とは、2019年の実証実験を経て2020年には資本提携を結び、コラボレーションを実現させている。具体的に、どのような課題を解決するためにアクセラを導入したのか、またシェアダインとはどのような取り組みを実施しているのか、日本生命保険相互会社より総合企画部 イノベーション開発室 課長の関 正之 氏にお話を伺いますThe following is a list of the most common problems with the
<開催概要>
開催日:2021年4月27日(火)11:00~12:30
entrance feeFree of charge
Holding formatOnline
organizing:Creww株式会社
※本セミナーはオンラインWeb会議システム「Zoom」を利用して開催しております。お申し込み後に、Zoomリンクおよび視聴方法をメールにてお送りいたします。
