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制度の目的や出資するスタートアップの要件とともに、オープンイノベーション促進税制がスタートアップにもたらすメリットについて紹介します。
オープンイノベーション促進税制の概要について

オープンイノベーション促進税制とは、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得した場合に、その株式の取得価額の25%が所得控除されるという制度です。まずは制度の概要を見ていきましょう。
経済産業省が創設した時限立法
オープンイノベーション促進税制は経済産業省が創設した時限立法で、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの2年間に行われる出資が対象です。
この期間内には大企業などのスタートアップへの出資が加速される可能性があるため、スタートアップにとって資金調達のチャンスであり、企業にもイノベーションを実現するまたとない機会になります。
参照:経済産業省「オープンイノベーション促進税制」https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/open_innovation/open_innovation_zei.html
制度の目的
制度の目的はその名の通り、オープンイノベーションの促進です。オープンイノベーションとは、社内の資源や技術だけでなく異分野、異業種の技術やアイデアを取り入れて革新的な製品やサービスを生み出すこと。
日本の企業は従来自前主義にあります。経済産業省によるデータでは、オープンイノベーションを実施している欧米企業は78%と多いのに対し、日本企業は47%という数字にとどまっている状況です。スタートアップへの投資は不十分な状況にあり、今日のビジネスモデルの変化に合わせて企業の競争力を強化することが求められています。自前主義から脱却してオープンイノベーションを促すため、促進税制の制度が創設されました。
このような制度の目的から、ただ株式を取得するのではなく、スタートアップと企業がオープンイノベーションを行うことが必須事項です。
スタートアップの要件
オープンイノベーション促進税制の適用を受けるためにスタートアップはいくつかの要件を満たす必要があります。
設立10年未満の株式会社
会社登記上の設立日を起算日として、現金を払い込む出資日までの年数が10年未満の株式会社であることが必要です。また、未上場、未登録の会社でなければなりません。
事業を開始していること
新規設立の会社は含まれず、事業を始めている必要があります。また、出資する企業とのオープンイノベーションをすでに行っているか、これから行う予定であることが必要です。
すでに多くの出資を受けている場合は対象外
株式構成では次の要件が必要になります。
- 1つの法人グループが株式の過半数を有していないこと
- 民法上の組合や個人など法人以外の者が1/3以上の株式を有していること
これらの要件が設けられたのは、制度の趣旨が出資をあまり受けていないスタートアップの支援にあるからです。すでに多くの出資を受けている会社への投資は趣旨から外れ、対象になりません。
海外スタートアップも対象になる
風俗営業または性風俗関連特殊営業を営む会社や、暴力団員等が役員または事業を支配する会社は対象外です。
すべての要件を満たせば、国内だけでなく海外のスタートアップも対象になります。
促進税制でスタートアップに期待できるメリット

オープンイノベーション促進税制のスタートアップにとってのメリットは、次の3つです。
資金調達の機会が増える
企業が自社の新規発行株式を購入することで、資金調達の機会が増えます。大企業であれば1件あたり1億円以上の出資になるため、スタートアップにとって大きなサポートになるでしょう。
大企業のブランドネームを活用し、市場を拡大できる
大企業とのオープンイノベーションでは、ブランドネームを活用できるのが大きなメリットです。そのPR効果は非常に高く、自社の技術やアイデアを広く世間にアピールすることができます。
市場を一気に拡大するチャンスになるでしょう。
中小企業のベンチャー投資が増え、企業成長の可能性が高まる
オープンイノベーション促進税制は大企業だけでなく、中小企業が利用できるのが特徴です。出資額が1,000万円以上と低く設定されているため、多くの中小企業が新しい技術や革新的アイデアを求めて出資する可能性があります。
オープンイノベーションのチャンスが広がり、企業成長の可能性が高まるでしょう。
促進税制で活性化するオープンイノベーションを自社の発展につなげよう

オープンイノベーション促進税制の創設によるオープンイノベーションの活性化は、事業拡大のチャンスです。大企業とのオープンイノベーションであれば、急速な成長も期待できるでしょう。2年間と限られた期間ですが、この機会をぜひ自社の発展につなげてみてください。