「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM」第二期デモデイ

佐川急便の経営資源とスタートアップ企業の持つ新しいアイデアや斬新なノウハウを掛け合わせ、新たな物流未来の創出・社会の発展へ貢献することを目指し、同社は本年4月より「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM」第二期を開催。イノベーションを実装していくパートナーを募集しました。
多数の応募の中から書類および面談での選考を経て採択された4社は、その後佐川急便の専任開発担当者と二人三脚で実証実験などを通じて事業共創を進めてきました。
今回のデモデイでは、各チームがこれまでの取り組みの進捗や成果を発表。審査員による協議の結果、「最優秀賞」「優秀賞」「HIKYAKU LABO賞」「審査員特別賞」が決定し、表彰されました。
最優秀賞スタートアップは株式会社トレードワルツ
今回、「最優秀賞」に選ばれたのは、ブロックチェーン技術等を活用した貿易プラットフォームを展開する株式会社トレードワルツ。そして「優秀賞」はugo株式会社、「HIKYAKU LABO賞」はSWAT Mobility Japan株式会社、「審査員特別賞」は株式会社フツパーが、それぞれ受賞しました。
採択企業4社に対しては、これまでの実証実験の結果などを踏まえ、プログラム期間終了後も物流に関する社会課題を共に解決していくため、引き続き協業の可能性が模索されていきます。
今後は、よりスピード感をもって新たなビジネスを生み出していくため、通年での募集形式に変更されます。詳細については、順次公表が行われていく予定です。
採択スタートアップ企業4社の取り組みについて
最優秀賞:株式会社トレードワルツ

田中 清之 氏 佐川急便株式会社 経営企画部 係長(取材当時/本社(中部)営業開発部より参加)
SAGAWAの国際物流ソリューション進化

【提案内容】
●トレードワルツのシステムと佐川急便の国際物流ネットワークを掛け合わせることにより、貿易業務の効率化・物流の可視化・物流の最適化を図る。
●効率的な貿易業務・最適物流によりCO₂を削減し、SDGsに貢献する。
●佐川急便にとどまらず、荷主の業務効率化を図る。
【実証実験内容】
●中小企業を中心に輸出入サポートを行っている企業の協力のもと、トレードワルツとIoTトラッカーを用いた貿易手続きを実施。
【検証項目】
●貿易完全電子化プラットフォーム「トレードワルツ」を活用することで貿易業務の効率化が可能か。
●IoTトラッカーにより、リアルタイムで貿易貨物の位置情報の把握が可能か。
●貿易貨物の位置情報を捉えてリードタイムの内訳を可視化することによって、リードタイムの短縮は可能か。
【検証結果】
●業務工数は44パーセント以上の削減が可能。
●IoTデータによるリアルタイムでの貨物位置情報の把握が可能。
●リードタイム内訳の可視化が可能。
【目指す未来】
●国際物流における「デジタル物流商社」というワンストップのビジネスモデルを検討。
●既存事業にデジタル技術と商社機能をプラスすることで、中小企業をはじめとする新たな顧客層への貿易サービスの提供を目指す。

優秀賞:ugo株式会社

吉岡 良 氏 佐川急便株式会社 経営企画部 係長(取材当時/本社(西日本)営業開発部より参加)
内藤 まどか 氏 佐川急便株式会社 経営企画部 (太田営業所より参加)
屋内物流の新常識を創る~人×ロボットによる最適物流オペレーションの構築~

【提案内容】
●ロボットによる配送で、館内物流の配送効率向上&新たな付加価値を創造する。
●館内物流の効率化にとどまらず、宣伝活動や見回り等の付加価値により多種多様な提案領域へと広げていく。
【実証実験内容】
●大型商業施設の協力のもと、ロボットによる集配業務、宣伝活動、施設管理業務を実施。
【検証項目】
●人とロボットの最適な役割分担を見極め、ロボット導入により配送効率を向上させることが可能か。
●集配業務に加え、宣伝活動や施設管理業務などを同一ロボットに行わせることで、費用対効果を高めることが可能か。
【検証結果】
●配送にとどまらず様々なシーンでロボットを活用することで、十分な費用対効果を望める。
●非対面・非接触のニーズに応えるなど、定性的な効果も見込まれる。
【目指す未来】
●人件費の削減だけでなく、ロボットを導入する事により24時間365日収益を生む仕組み。
●オフィスビルやマンション、高齢者施設への展開も検討。
●サービス業の人手不足をヒト×ロボの分業モデルで解決。

HIKYAKU LABO賞:SWAT Mobility Japan株式会社

竹内 淑貴 氏 佐川急便株式会社 経営企画部(加賀営業所より参加)
TMSソリューションの進化

【提案内容】
●物流コンサルティングや動態管理、共同配送等を一貫して提供するような新たな佐川急便のTMS(Transportation Management System/チャーターサービス)メニューの開発を目指す。
●現場のアナログ業務を効率化・高度化し、お客様への最適なソリューションの提案を目指す。
【実証実験内容】
●アパレル商材の集配における配車組みやルート設計にSWAT Mobility Japanの提供する以下の3つのシステムを導入。
●「オーダー入力アプリ」で顧客情報や条件を入力→「ルート・ジェネレーター」で自動的にルートを生成→「ドライバーアプリ」でドライバーにルートを伝える流れを構築。
【検証項目】
●最適なルート設計や容積計算、お客様が受け入れ可能な車両の条件等を考慮した配車により、必要台数の削減が可能か。
●配車業務の自動化により、作業時間の削減が可能か。
【検証結果】
●車両台数は約64%に削減。
●配車業務にかかる時間は約33%に削減。
【目指す未来】
●物流コンサルティングや動態管理、ビッグデータ分析、共同配送等を組み合わせた、新しいTMSのサービスを検討。
●テクノロジーと配送をセットにして顧客へ提供することで、売上拡大を目指す。

審査員特別賞:株式会社フツパー

工藤 佑真 氏 佐川急便株式会社 経営企画部(取材当時/東京営業所より参加)
AIでSAGAWAの安全から社会全体の安全へ

【提案内容】
●佐川急便が、「安全は全てに優先する」をテーマに行っているドライブレコーダーの映像検証について、フツパー社のAIを導入。
●人間が目で見て行っている「映像検証」をAIで自動化することで、工数削減を図る。
※映像検証・・・佐川急便株式会社の定める「安全運転基本要領」通りの運転をしているか目視で確認する作業
【実証実験内容】
●1営業所のドライブレコーダーデータから運転時のドライバーの行動を特定して学習データを作成。
●AIモデルを構築し、ドライブレコーダーの映像をAIで解析。
【検証項目】
●AIが運転時のドライバーの行動を検出可能か。
●AIで「映像検証」を行うことによって得られる効果の検証。
【検証結果】
●担当者が確認したドライバーの行動とAIが抽出したドライバーの行動の一致率は100%。
●ある程度認識できるが、「安全運転基本要領」通りの運転ができているにも関わらず、できていないと認識してしまう過検知が多く見られた。
●精度を高めるため、学習データの量の増加、運転時の行動のクラス分け、項目の区分けなどの作業が必要。
【目指す未来】
●事故ゼロ、安心安全を目指す企業の取り組みを社会全体の安心安全につなげていく。
●「佐川=安全」という認知を拡大するとともに、社会貢献を目指す。
<会社概要>
社名 | 佐川急便株式会社(SAGAWA EXPRESS CO.,LTD.) |
所在地 | 本社:京都市南区上鳥羽角田町68番地 東京本社:東京都江東区新砂2丁目2番8号 |
設立 | 1965(昭和40)年11月24日 |
代表者 | 代表取締役社長 本村 正秀 |
事業概要 | 宅配便など各種輸送にかかわる事業 |
URL | https://www.sagawa-exp.co.jp/ |
