アクセラレーター3社がCEATEC2019で語る「スタートアップを取り巻くエコシステムとは」

Innovation
2019年10月15日(火)から4日間に渡って開催されたCEATEC 2019。17日に実施されたCollaborator Talk Sessionでは、オープンイノベーションの手法で注目されるアクセラレータープログラムを提供する3社から、Creww、01Booster、Plug and Play Japanの代表が登壇し、スタートアップを取り巻くエコシステムについて熱いトークを交わした。
登壇者
株式会社ゼロワンブースター共同代表 取締役 合田ジョージ
Creww株式会社 代表取締役 伊地知 天
Plug and Play Japan株式会社 代表取締役社長 ヴィンセント・フィリップ

アクセラレーターとは?

フィリップ:まずはここで話す「アクセラレーターとは」の定義についてクリアにしたいと思うのですが、皆さん「アクセラレーターとは何?」と聞かれる時に、どのように答えていますか?

合田:スキームとしてはベンチャー企業(スタートアップ)を集めて支援するものだと思います。何のためにアクセラレーターをやるかというと、「ベンチャー企業と大手企業や地域がコラボレーションするための仕組みづくりのため」とお話することが多いです。

伊地知:スタートアップからすると協業が自社の成長になっていくこと、大手企業からすると新規事業を開発するプロセスが早くなっていくことに価値があると思うので、「スタートアップと大手企業、両者のニーズが達成できる座組みを短期間で作るもの」とお話ししています。

エコシステムとは?

フィリップ:スタートアップエコシステム、イノベーションエコシステムを盛り上げる支援を我々はしているわけですが、エコシステムについて、どのように説明されていますか?

中央:Plug and Play Japan株式会社 代表取締役社長 ヴィンセント・フィリップ

合田:誰かが手を貸すのではなく、スタートアップやイノベーションが勝手に育っていく環境、自走で発展するような仕組みをつくれたら、エコシステムと言えるのではないでしょうか。

伊地知:アメリカなどに比べ、日本はスタートアップのコミュニティがあまり大きくなく、スタートアップのコミュニティをどんどん大きくさせていく必要があるという風潮になってきています。その背景には人口減少をはじめ様々な問題がある中、経済成長の延長線ではない新しいイノベーションが求められていることがあります。コミュニティの規模の小ささに対しての打ち手は、「支援者を増やす」、「挑戦できる人たち」を増やすという2種類になってくると思います。

これらを増やすためには、日本ではまだまだロールモデルが不足している。アメリカのようにほとんどのスタートアップがM&Aでエグジットしていくことに比べると、日本はまだまだ出口が少なすぎる。成功体験を得る起業家と投資家の数がそもそも少ないので、大企業とスタートアップの距離をどんどん近づけて、小さくてもいいから出口を増やしていくことが必要だと思っています。成功体験を持った人が次の起業家を育てていく、そんなエコシステムができたら最高かな。

Creww株式会社 代表取締役 伊地知 天

フィリップ:日本のスタートアップエコシステムはヤバイというニュアンスが会話に入ってきていますが、Plug and Play から見てもエコシステムのど真ん中にいるのがスタートアップで、このスタートアップを支えるものがエコシステム。つまり、エコシステムのキープレイヤーとして事業会社や政府、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターやインキュベーションがあり、キープレイヤーたちでスタートアップを支えていくのがエコシステムということになると思います。

エコシステムはどう変化してきたのか

フィリップ:日本だけをみると、エコシステムはどう変化してきていると思いますか?

伊地知:「事業会社がスタートアップに興味を持ってきた」、ということについての変化ですと、大手企業とスタートアップをつなぎ合わせる、ということをCrewwはだいたい8年くらい前からやっておりまして、当時は「与信はどうなってる」「3期分の決算書を出して」などという話ばかりでした。そこから少しづつスタートアップと共創するということを積み重ねてきている事業会社さんが増えてきていると思います。

また、業界によって波があって、製造業や金融保険系の企業はとくに最初は入ってきてくれなかったですね。それがここ3年で製造業や銀行、保険会社もどんどん参入してくれるようになり、さらに最近多いなと思うのは商社ですね。そしていよいよその波が建築業、医療にも広がってきているのをお問合せの件数からも感じています。

エコシステムのキープレイヤーとして大手企業はどう変わってきているのか

フィリップ:いま、オープンイノベーションブームですからね。むしろ逆にオープンイノベーションをやらないといけない、スタートアップと組まなくちゃいけないという気持ちは皆さんそこそこあると思うんですが、たまに「なぜスタートアップと共創しないといけないの?」という質問がくるんです。今までイノベーションは社内で起きていたし、R&Dから生まれてマーケットにいくものがイノベーションであったからなんでしょうね。そこで、「今、スタートアップと共創する理由」と問いかけられたら、お二人はどのように答えますか?

合田:一つ大きな変化が欧米で進んでいるのが「リバースインテグレーション」という考え方なんです。昔は大手企業のやり方にスタートアップが合わせていましたが、今は逆に大手企業のシステムが硬くなりすぎてしまったこともあり、イノベーションが起きにくくなっていきているという課題があります。そこで、最近はスタートアップ側のシステムに大手企業が合わせる「リバースインテグレーション型」に変わってきているケースが増えていますね。スタートアップと組むことで企業文化を寄り戻しているのだと思います。

左:株式会社ゼロワンブースター共同代表取締役 合田ジョージ氏

フィリップ:それこそ昔はどの企業さんもスタートアップだったわけですし、会社として早く成長しなければいけないという危機感があったからこそオープンイノベーションが当たり前だったわけですが、規模が大きくなってしまったために良いシステムを改良し何十年も続けてきた反面、オープンイノベーションがしにくくなっているという側面がありますね。

伊地知:「インベンションのハードルが下がり、イノベーションのハードルが上がっている」と最近東大の先生などがお話されているのを耳にするんですが、昔に比べ技術開発で新しいものを生み出すR&Dをしていくことのハードルは下がっているが、社会実装していく、ビジネスに変えていくことのハードルはどんどん上がっているということなんですね。僕はまさにそうだなと思っていて、R&Dから市場に流れていく従来のアプローチは絶対にこの先も必要なんですが、一方でユーザーの課題ベースでのアプローチが欠けていると思うんです。これを得意としてるのがスタートアップなので、事業会社とスタートアップの両者の得意な面を掛け合わせて良いビジネスを創出しようというのは理にかなっていると思います。

大手企業側のオープンイノベーションに対する理解度とは

フィリップ:すでにスタートアップとの共創を複数している企業がアクセラレータープログラムをやりたいです、というケースと、「イノベーションのやり方がわからないのでサポートしてほしい」というケースはどちらが多いですか?

合田:数年間で問い合わせが変化している。昔は何やっていいかよくわからない、という企業さんが多かったですが、最近は周囲でもオープンイノベーションが広がっているのでナレッジは増えていると思います。産業ごとに特色があって、最近では研究開発系からの問い合わせが増えている。経験値があるケースとにかくやらねばと危機感をもっているケースと幅広いです。

伊地知:一番多いのは新規事業系の事業企画部からの問い合わせですね。研究所の技術をビジネスにして欲しいというオーダーもたまにあります。これはこれで非常に重要だと思います。大学や企業さんの研究所に眠っているものすごく貴重な知財を社会実装のほうに持っていく働きというのはもっとやるべきだと思っています。

エコシステムを作る上でアクセラレーター各社が進めている工夫とは?

フィリップ:よりスタートアップフレンドリーにする工夫ってしていますか?例えば、アクセラレーターが始まる2〜3ヵ月前にこういうコンテンツをやっているとか、経営層向けにプレゼンをしに行くとか、社内イベントをやるとか、どういうふうにコミットメントをもらってきているのでしょうか?

伊地知:最初の勉強会はたくさんやります。一番はスタートアップに直接会ってもらうことですね。実際に会うことで「スタートアップの熱量にやられました」という人たちは出てくるんで、対面で会話してもらうことは非常に大事だと感じています。すでにアクセラレータープログラムを実施した企業のトップの方を引き合わせていくこともCrewwではやっています。

合田:理想は合宿をいっぱい実施して、皆でディスカッションをすることであとあとの目線がズレないようにすることだと思います。ベタかもしれませんが、あとは、やはりアジア系は「飲み会」(笑)。目線合わせの後に懇親会をセットして距離を近づけることですね。

さて、トークセッションで交わされた内容をダイジェストでお送りした「スタートアップを取り巻くエコシステム」ですが、いかがでしたでしょうか。

日本のスタートアップを取り巻く現状、イノベーションが加速する上で重要となってくるキープレイヤーとしての大手企業の関わり方、さらに大手企業とスタートアップの共創がスムーズに進むためにアクセラレーター各社がどのように工夫をこらしているのかの触りをお届けしました。

イノベーション後進国とも言われている日本が、イノベーションを加速させていくため、「アクセラレータープログラムという手法についてさらに詳しく話を聞いてみたい」という方は、ぜひ3社にお声かけください。

社名Creww株式会社
設立2012年8月13日
所在地東京都目黒区青葉台1-18-14 3F
代表取締役伊地知 天
事業概要「挑戦」をしたい人をトータルサポート
様々なニーズに対応したサービスを提供しています。

■共創イノベーションプラットフォーム「crewwコラボ」
 ※スタートアップと事業会社に特化したアクセラレータープログラム
■挑戦のためのコミュニティ&コワーキングスペース「docks」
■オープンイノベーション&新規事業創出サポート「Creww Corporate Membership」
社名株式会社ゼロワンブースター
設立2012年3月22日
所在地東京都港区東麻布1丁目7-3 第二渡邊ビル7F
代表取締役鈴木規文
事業概要■法人向け
事業創造支援、オープンイノベーション支援
事業創造人材育成、CVC企画・運営
ベンチャー投資、M&Aアレンジ

■起業家・ベンチャー企業向け
起業家支援、起業家向けインキュベーションオフィス
起業家教育、ベンチャー投資
社名Plug and Play Japan株式会社
設立2017年7月14日
所在地東京都渋谷区道玄坂一丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル2F
代表取締役社長ヴィンセント・フィリップ
事業概要■アクセラレーションプログラムの実施
■スタートアップへの投資

【海外拠点】
シリコンバレー、ニューヨーク、クリーブランド、グアダラハラ
アムステルダム、パリ、ベルリン、フランクフルト、シュトゥットガルト
ミュンヘン、バレンシア、ミラノ、アブダビ、北京、上海、重慶
西安、蘇州、深セン、杭州、シンガポール、ジャカルタ、東京
執筆
INNOVATIVE PORT編集部 
「INNOVATIVE PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

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