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木曜日, 7月 7, 2022

【公募】循環炭素社会を目指し、スタートアップや起業家予備軍を含む研究者らを助成!

地球温暖化問題を解決するために再生可能エネルギーを中心とした脱炭素社会へ移行する動きが高まってきているが、CO2の排出を削減することのみならず、CO2を回収して資源として利用、森林、海や土壌に吸収固定させるなど地球規模で循環、吸収、利用を促進することが重要である。このような循環炭素社会の構築を目的として一般社団法人カーボンリサイクルファンドが誕生した。民間からの寄付金を原資としてシード/アーリーステージのスタートアップにとって必要な見返りを求めない“GAPファンド”として、循環炭素社会の実現に向けてイノベーションを起こそうとする大学・企業等の研究者(研究チーム)に助成金を交付している。そんな同団体が開催する助成活動について、イノベーション部/部長代理 鹿島淳氏に話を伺った。

循環炭素社会の構築を目指す

――カーボンリサイクルファンドが設立された背景を教えてください。

カーボンリサイクルファンドは、循環炭素社会の構築を目的として、2019年8月に設立した民間団体です。

世界中で議論されている地球温暖化問題を解決するには、地球全体でCO2の排出量を減らす必要があります。そこに求められるのは、再エネや省エネなどによる徹底したCO2削減に加え、排出せざるを得ないCO2については、CO2を資源として捉え、さまざまな技術によって化学品・燃料・鉱物等に転換して再利用する “カーボンリサイクル”であると考えます。さらには、バイオ・ブルーカーボン・農林水産活用等によるネガティブエミッション技術や炭素を含む素材のリサイクルなどを含めた循環炭素社会の構築が必要であると考えます。

図1 循環炭素社会のイメージ

我々の特徴は、化学や電力、エネルギー、商社、エンジニアリング、土木・建設・不動産といった幅広い業界の法人や個人、そして自治体や学術機関等が会員として加入し、業界を横断したプラットフォームになっていることです。

図2 カーボンリサイクルファンド会員一覧

会員からの会費や寄付という民間資金によって、カーボンリサイクルに関わる啓発活動等を行う「広報活動」と、イノベーションを創出しようとしている研究者や企業へ助成金を交付する「研究助成活動」、そして国際ルール作りや国のエネルギー・環境・技術開発政策に対する「政策提言」の3つの活動を行なっています。

図2 CRFの活動概要

今回の研究助成活動公募(アクセラレータプログラム)では、2050年カーボンニュートラル達成に資する成果を期待し、CO2を循環させる、または削減する技術やアイデアを持つ大学・スタートアップ等の企業の研究者(研究チーム)に助成金を交付する「研究助成活動」を実施したいと考えています。

2019年8月の設立以来、助成活動の公募は2回実施していますが、今回はスタートアップの皆様に広く知っていただくために、初めてアクセラレータープログラムを導入しました。

見返りを求めない“GAPファンド”

――過去2回の助成活動では、どのような企業を採択したのでしょうか?

企業や大学に埋もれている、カーボンリサイクルの研究や技術、アイデアを公募し、2021年度は約50件の応募から12件を採択しました。

具体的には、CO2固定化技術や燃料への転換技術、化学品への転換技術、CO2分離回収技術などの研究開発テーマに取り組む企業や大学の研究者(又は研究チーム)に助成金を交付し、社会実装につなげるための一歩として、資金を活用していただいています。

図3 2021年度採択テーマ

――今回なぜスタートアップ枠を作ったのですか?

国はスタートアップ支援強化を掲げていますし、CRF会員となって頂いている地方でもスタートアップの力を活用して新ビジネスを創出することで地方創生に繋げようとしています。CRFの研究助成活動は、こういったスタートアップの研究者へも助成対象となっています。

しかし、過去2回の実施で課題となったのは、産学連携窓口のある大学には我々の存在が認知されたものの、スタートアップについては纏まった窓口が無く周知が難しかったことです。そこで今回、公募趣旨は同様ですが、従来から実施してきた公募(一般公募枠)に加え、応募書類を簡略化し一般公募枠と併願可能なスタートアップ枠を設けることとしました。

大学だけにではなく、革新的なアイデアで新しい市場の開拓にチャレンジしているスタートアップにも知っていただきたいと考えています。

――どんなスタートアップからの応募を期待していますか?

CO2を資源として利用するカーボンリサイクル技術や、環境問題・気候変動に対応する技術やアイデアを持つ、シード/アーリーステージのスタートアップです。加えて、この領域で起業予定の若い研究者や開発者からもご応募いただきたいと思っています。

具体的な技術例としては、CO2の分離回収、固定化技術、転換技術、炭素資源の循環技術、生物や自然の力を活用した技術など、循環炭素社会の実現に向けた技術やアイデアに期待しています。

――起業前の人も対象なのですね。

そうです。海外ではクリーンテックがブームですし、CO2に価値付けがされているので、技術やアイデアに対してVCが数十億から100億円規模で投資しています。

一方で、日本はまだCO2に価値付けがされていないので、VCが投資する事業化段階になるスタートアップが少ないように思います。しかし、CO2に価値が付くのはもう時間の問題ですし、価値がついてからビジネスを始めていたのでは世界からますます遅れてしまいます。

だから、我々は見返りを求めない“GAPファンド”として、助成規模は小さいですが、シード/アーリーステージのスタートアップや、起業予定の人たちの下支えをしたいと考えています。

不採択でもビジネスマッチングの可能性

――今回、何社のスタートアップを採択予定でしょうか?

一般公募枠として10件程度、さらに今年度から新たに設けたスタートアップ枠では、数件の採択を予定しています。助成金を交付後は、次のステップに進んでいただきながら、社会実装を目指してもらいます。

また、残念ながら不採択になってしまった研究テーマについても、会員企業などとマッチングで社会実装に近づく可能性が少しでもあればおつなぎします。助成活動だけが目的の団体ではないので、ぜひ我々を活用して、ビジネスマッチングのチャンスを広げて欲しいと思っています。

――環境に関わるスタートアップの受け皿になっているのですね。

そうありたいと思っています。技術やアイデアはあっても、人脈や資金がないスタートアップは多いはずです。でも、大学や大手企業とのマッチングによってプロジェクトが大きく前進する可能性があるなら、少しずつでも下支えしたい。それにより、社会実装に近づくスタートアップを増やしたいですね。

また今回の取り組みで、できるだけ多くのスタートアップに我々の存在を知ってもらい、応募数によっては制度設計の見直しにもつなげたいと考えています。

――最後にカーボンリサイクルファンドが目指す社会について教えてください。

我々が目指すのは、地球温暖化問題とエネルギーアクセス改善の同時解決です。CO2を資源・エネルギーに変える「循環炭素社会」は、一企業だけで実現できるものではありません。だから、世界中の叡智を集めて問題を解決したいと考えています。

よく、CO2を削減するために再生可能エネルギーを使えばいい、ITを活用して工場をなくしたスマートシティを作ればいいという議論になりがちですが、世の中から炭素がなくなることはありませんし、工場をなくすと日本に産業がますます縮小していくことになると思います。

脱炭素一辺倒ではなく、炭素を循環させるアイデアが何よりも必要と考えます。2050年カーボンニュートラル達成に向けて、環境問題や気候変動問題に対して新しい技術やアイデアを持つ研究者(又は研究チーム)、特にスタートアップ枠は、スタートアップ企業・大学等の起業予定の研究者からのご応募を心からお待ちしています。

名称一般社団法人カーボンリサイクルファンド
設立2019年(令和元年)8月30日
所在地東京都港区西新橋三丁目2番1号 Daiwa西新橋ビル3階
会長小林喜光((株)三菱ケミカルホールディングス 取締役)
事業概要1. 研究助成活動:カーボンリサイクル実現に向けて、実用化するには、コストの課題、基礎的な研究が進展していない等の様々な課題があります。それらに挑戦し、イノベーションを創出しようとする研究者等に対してグラント(助成金)を交付する等の研究助成活動を行います。
2. 広報活動:Webサイトの運営、各種刊行物等を通じて、国内外の最新の情報を提供するとともに、各種メディアと連携したイベント・シンポジウム・研修会の開催等を行い、カーボンリサイクルに係る啓発活動等の広報活動を行います。
3. その他の活動
●国内外各種調査:国内外のカーボンリサイクルに係る技術動向を把握するための調査等を行います。
●政策提言等:カーボンリサイクルを含め、CCUSを推進していくための国際ルール作りや国のエネルギー・環境・技術開発政策に対する提言等を行います。
URLhttps://carbon-recycling-fund.jp/
インタビュイー
鹿島 淳 氏
一般社団法人カーボンリサイクルファンド イノベーション部 / 部長代理
2020年第1回目の研究助成活動から参画し、オープンイノベーションや産学連携によるカーボンリサイクルの社会実装加速に関わっています。
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田村 朋美
2000年雪印乳業に入社。その後、広告代理店、個人事業主を経て、2012年ビズリーチに入社。コンテンツ制作に従事。2016年にNewsPicksに入社し、BrandDesignチームの編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集として活動中。
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