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Sunday, December 10, 2023

STARTUP STUDIO" allows students to take on the challenge of "zero initiative" while continuing their day jobs. A great learning experience in six months

「大挑戦時代をつくる。」を掲げるCrewwの新たな試みは、個人の挑戦の支援。社会課題を解決するためのアイデアと、その事業を作り出したい個人をつなぎ、6ヶ月でプロダクトを作って事業会社に売却することを目指す「STARTUP STUDIO」を立ち上げた。

このプログラムに参加する個人は、本業を続けながらコストをかけずにゼロイチの事業開発に挑戦できる。しかも、売却益以外に報酬が発生しないため、副業ができない企業の個人でも挑戦可能。法人化しないサイドビジネスのプロジェクトとして参加できるのが大きなポイントだ。

そんな「STARTUP STUDIO(スタートアップスタジオ)」の第一回目に事業アイデアを応募したのは約130名。そのうち3つがプロジェクト化され、参加したいと応募したのは約50名のチャレンジャーたち。選考の上、3割がメンバーとして選ばれた。

今回は、3つのプロジェクトのうち「スマホでありがとうを届けるチップサービス『petip』」の事業立ち上げに参加した、DMM.comのエンターテインメント開発部グループリーダーの松本哲生氏に、挑戦した理由やプロジェクトを進める中で学んだことを語っていただいた。

ゼロイチから売却まで経験できるなら、参加しない理由がない

―松本さんは、STARTUP STUDIOの存在をどこで知ったのでしょうか?

松本 Creww(クルー)が開催したイベントにたまたま参加したことで知りました。ゼロイチに興味があったので「これはチャンスだ」と思って事業アイデアを提出したんです。ただ、それは採択されなくて(笑)。でもゼロイチで事業を立ち上げてみたかったので、プロジェクトメンバーとして応募しました。

応募理由は、報酬を受け取らなければ本業を続けたまま参加できるから。平日の夜や土日を使って、事業を立ち上げるゼロイチのフェーズから売却までを体験できるのなら、参加しない理由がないと思いました。

僕が応募したプロジェクトは、「スマホでありがとうを届けるチップサービス『petip』」です。日本にチップの文化はありませんが、それを新しく作れたらサービス業の課題解決につながるかもしれないし、もっと優しい社会になるのではないかと思いました。

「感謝」を可視化し、スマホでチップを支払えるサービス

―もともとゼロイチに興味があった。

昔からあったわけではありません。DMMに入社する前は、エンジニアのスペシャリストとして生きていこうと思っていたんですね。でも、徐々に上流工程に関わるようになると、人と会話して何かをゼロから生み出すことが好きだと気づき、それなら事業会社に行こうとDMMに転職しました。

DMMは事業領域がとても広く、担当する事業が変われば転職したのかなと思うくらい顧客も技術も体制も予算規模も変わります。実際、入社してから5年目になりますが、電子チケットや電子書籍、シェアバイク、水族館、公営競技、アニメなどさまざまな事業に関わってきました。

安定した事業もあれば、撤退したりする事業もある。変化が激しい環境で、次々と新しいことに挑戦するのが楽しくて。それが今回のプロジェクトへの参加につながっています。

ゼロイチはできても、経験がなかった事業売却フェーズ

―プロジェクトを進める上で大変だったことはありますか? 特に本業を続けたまま参加するので、時間の捻出に苦労したなどあれば教えてください。

個人の最大のパフォーマンスは求められますが、メンバー間で補い合っていたから過剰な負荷はありませんでした。それに、期間が6ヶ月と区切られていたので、平日の夜や土日の時間を捻出することにストレスはなかったです。

むしろ、ゼロイチを何度も経験したプロが集まったわけではないので、そもそもゼロから作り出すのが大変でした。加えて、プロジェクトメンバー6人は全員兼業の形で参加しているから、熱量を維持するのも難しかった。

でもそれ以上に難しかったのは、事業売却でした。根幹となるアイデアは決まっていたので事業を立ち上げることはできても、事業売却は経験がない。アドバイスはもらっていても実感がなく、直面して初めて課題を理解し「もっと前からやっておくべきだった」と知ったことがたくさんあったんです。

結果的に僕らのプロジェクトは売却まで至らなかったのですが、今もう一度挑戦できるなら、売却というKGIに対してしっかりゴールを見据えて取り組んでいけると思います。

―具体的に、どんな気づきがあったのでしょうか?

僕は、プロダクトを作って実証実験で結果が出たら売却できるのでは?と思っていたんです。その考えが甘かった。企業がお金を払うのは、企業や社会の問題を解決する事業。購入価格に見合う事業があるか購入企業側の立場で考え直すべきだったんです。売却に向けたアプローチが未熟だったことで、結果、売却まで至ることができなかった。

とはいえ、今回のプロジェクトに参加しなかったら、ゼロイチの経験も事業売却に必要な考え方も知り得ませんでした。残念ながらプロジェクトのKGIは未達に終わりましたが、個人の参加目的は十分達成でき、学びがとても大きかったです。

今の仕事が定年まで続くとは限らない。世の中を知るべき

―今回松本さんは、新しい取り組みに挑戦しましたが、やりたくてもなかなか一歩を踏み出せない人はどうしたらいいと思いますか?

僕は、今の仕事が定年まで続くとは全く思っていないんですね。

前職では、オフショア推進で組込製品の開発が満了し、フィーチャーフォンのプロジェクトもスマートフォンの登場で収束した。その後、メーカー独自のAndroidOSのカスタマイズなども担当したが、アップデートが早くそれも縮小し、スマートフォンのアプリエンジニアになった。現職ではサーバ側の設計開発も担当している。

エンジニアとして一つの言語を習得したら安泰なんてことはなく、次から次に新しい言語が出てきますし、技術も進化します。だから、どんな環境でも仕事ができる人にならないといけないと思っていて、チャンスがあれば取りに行きたい。

実際、今回の『petip』でエンジニアとしての仕事はほとんどしていないんです。企画からユーザヒアリング、実証実験をするための店舗交渉や準備、売却フェーズでの調整や交渉など、全般に関わりました。

仮に社内でゼロイチのプロジェクトに参加しても、現在の立場ではエンジニアとして参画になるのでスタート時点の事業企画に関わることはないだろうし、売却フェーズに関わることはないです。本業では関われない・知らない仕事を経験できたのは、僕にとって大きな価値ですし、いずれ本業に還元できればと思っています。

もし、何か新しいことに挑戦したくても一歩を踏み出せないなら、あえて自分の本業とは違う勉強会に参加してみるといい刺激になると思います。僕はよく、エンジニアとは関係ない勉強会に参加するのですが、するといかに自分が井の中の蛙になっていたかがわかるんですね。

世の中を知ることはとても大事で、社内だけに閉じこもっていたら経験できないことはたくさんあります。それを少しでも多く経験することが、この先の自分の糧になると思っています。

失敗は、成功につながる過程でしかない

―今回のプロジェクトで得られたことは多かったように思います。その経験を持ってこれから挑戦したいことを教えてください。

今回参加してすごく良かったのは、事業を買う人の考え方や視点を知れたことです。エンジニアとして働いていると、スタートアップがVCから出資してもらうためにどんな過程が必要なのかはわかりません。資金の流れを理解して企画・設計するのとしないのでは、エンジニアとしての市場価値も大きく変わってくるはず。

単に機能として優れたものを作るのではなく、投資したいと思えるような価値のあるプロダクトを作る、その視点を持てるようになりました。

これから挑戦したいのは、やはり新しいサービスづくりに関わり続けることです。本業でチャンスを得られるのが一番いいけれど、それ以外にも今回のようなチャンスがあれば積極的に取りに行きたいですね。

また、今回参加したメンバーとのネットワークを生かしながら、またみんなで新規事業を立ち上げるのも面白い。たとえ失敗しても、それは成功につながる過程でしかないので、いろんなことに挑戦し続ける人生を歩みたいと思っています。

interviewee
松本 哲生 氏
合同会社DMM.com エンターテインメント開発部 プロジェクトマネージメントグループ グループリーダー 
開発中心のSIerから業務幅を広げるために事業会社へ転職。現在はエンジニアとして設計〜運用まで幅広く業務をこなす。開発経験と若年者支援NPO経験を生かし、副業として企業向けの外部講師も行なっている。
writing (e.g. as a profession)
Tomomi Tamura 
He joined Snow Brand Milk Industry in 2000. He then worked for an advertising agency and as a sole proprietor before joining BizReach in 2012. Engaged in content creation, he joined NewsPicks in 2016 as an editor on the BrandDesign team, and is now a freelance writer and editor.
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