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Wednesday, November 29, 2023

A sudden resignation made me realize a new side of myself|Intrepreneur Interview

1873年に創業した建築に強みを持つ安藤建設と、1889年に創業した土木に強みを持つハザマが合併し、2013年に大手建設会社 安藤ハザマが誕生した。同社では2019年4月にイノベーション部が設立され、イノベーションを創出する動きが進み出した。その一翼を担っているのが意匠設計部の一級建築士・松本透子氏だ。松本氏は本業の設計に加えて、スタートアップとのアクセラレータープログラムを推進し、さらに社内で新たな挑戦に取り組むワーキンググループでも精力的に活動している。具体的に松本氏は何をしているのか、話を聞いた。

突然の辞令で、本業の意匠設計とアクセラレータープログラムを兼任

意匠設計の仕事に就きたかった私は大学院で建築を学び、新卒では幅広い経験を積めそうなゼネコンを志望し、安藤ハザマに入社しました。

入社後は意匠設計部で、賃貸マンションや物流倉庫、ホテル、工場などの設計や設計監理、施工管理などを担当。同時に複数物件の設計をするためハードワークですし、自分が設計したものが形になるので責任重大なのですが、出来上がったホテルに泊まりに行ったり、工場で作られた商品を買ったりできるのは、この仕事の醍醐味です。

2019年4月、ちょうど工場の設計と監理が終わり、次に担当するマンションと物流倉庫の設計に取り掛かろうとしたタイミングで、突然の辞令を告げられました。「イノベーション部を兼任し、アクセラレータープログラムを担当してください」と。

「イノベーション? アクセラレータープログラム?」設計の業務をする中で聞くことがなかった言葉を耳にして、正直、一体何をするんだろうと戸惑いました(笑)。

イノベーション部を兼任することになった人たちが集められたミーティングで聞いたのは、「スタートアップが持つ革新的な技術力やアイデアと安藤ハザマのものづくり技術を融合させて、新しい価値を創りたい。Crewwのサービスを利用した当社が主催するアクセラレータープログラムで募集をかけ、50数件のスタートアップから応募がきている」という話でした。

私は本業とのシナジーが期待できる4社のスタートアップとの協業検討を任され、「すぐに動いて、スタートアップが提案する世界観や技術・サービスを理解して一緒に何ができるかを考えてほしい。」と言われました。

別の人から引き継ぐ物件もあったし、他の案件も動かさないといけない。だけどイノベーション部の仕事もすぐに始めないといけない状況になり、とりあえずその日中に4社へ挨拶メールを送りました。そこから、本業とイノベーション部を兼業する、めまぐるしい日々が始まったのです。

スタートアップと話をするうちに芽生えた、自分の新たな側面

新卒でゼネコンに入社し、設計や施工管理職などを経験してきた私には、当然スタートアップとの協業経験はありません。だけど、何を考えているのかを直接聞けば、未来につながる糸口が見えてくるはずだと考えて、とにかく相手の話を聞くことにしました。

設計の仕事もお客様のイメージを聞き、予算や敷地面積、法律などを加味した上で、現実的に作れるものを提案しているので、その経験が活きたと思います。

ただ、最初はお互いに仕事の環境も考え方も語彙も違うので、ちゃんと理解できているのか、相手に理解されているのかは分かりませんでした。それでもスタートアップの人たちと話をする中で、世の中には色々なことを考えている人がいることに刺激を受けました。

「自分たちが持つ技術力を使って、一緒に新しい価値を創ろう」とダイレクトに伝わる熱量にワクワクして、やるなら楽しみたい、彼らのアイデアやサービスを吸収していくことで、自分の新しい側面を見られるかもしれないと思い、どんどん主体的になりました。

4社から話を聞き、最終的に取り組みを継続すると判断したのは1社。他の3社に協業検討中止の連絡をするときは、皆さんの提案を上手く活かしきれなかったことが心苦しかったです。

アナログで煩雑な業務を効率化したい

取り組みを進めることになったトラスさんは、種類や数が膨大な建材を諸条件に合わせて検索できるプラットフォームを開発・運営しているスタートアップです。設計業務に関わる内容だったので、最初から協業できそうなアイデアはいくつか具体的に浮かびました。

私がトラスさんとの協業で実現したいのは、設計業務の効率化です。一つの建物が完成に至るまでは、社内外の多くの人が長い時間をかけて取り組みます。そこで生じる手間・時間・無駄を無くして効率化を図り、必要なところにはしっかりと時間をかけて良いものをつくる協業です。

社内の他の部署も巻き込みながら「こんなツールがあったら便利じゃない?」と聞いて周り、20名近くの人に相談したりアイデアをもらったりしながらプロジェクトを進めました。

最終選考は、イノベーション部の声掛けで錚々たる役員を集め、そこでトラスさんと一緒にブラッシュアップしてきた協業案をプレゼンするものでした。通常の業務では役員の方々と直接やりとりすることはないので、経営の視点で協業に対しての指摘や助言を直接得られ、貴重で面白い経験をすることができましたThe following is a list of the most common problems with the

新しい取り組みへの共感が、周囲を巻き込むことに

私がイノベーション部を兼任することになったとき、正直、所属する本業の部署からの反応は「本当に兼任するだけの時間をつくれるの?大変になるけど大丈夫?」という少し厳しいものでした。たしかに本業の設計業務と同時進行でスタートアップとの取り組みを進めるのは本当に大変で、時には休日返上でがむしゃらに働きました(笑)。

だけど、トラスさんと一緒にやりたいことが明確になるにつれて所属部署からも共感してもらえるようになり、「それはいち早く形にしよう」と言われるようになったんですね。

それからは、具体的な相談にも頻繁に乗ってもらったり、ミーティングに参加してもらったりと協力者が増えていきました。しかも設計業務とイノベーションの仕事に奮闘する私を見て、上司が私に後輩をつけてくれたんです。イノベーション部の仕事は指名でいただいているので、誰かに任せるわけにはいきませんが、それに時間を割いている間、少しずつですが後輩が本業の物件を動かしてくれるようになりました。

設計の仕事は、楽しいのは1割で、9割が辛い仕事だとよく言われるのですが、私は9割も辛い仕事をするのは絶対に嫌だと考えています。そもそも「これは面白くない仕事だ」と切り分けるから辛いのであって、「自分の仕事は全部面白い」というマインドを持てば、全部の仕事が面白くなる。この考えが後輩にも伝播したらいいなと思っています。

オープンイノベーションの取組が保守的な企業の組織文化が変化をもたらしはじめている

今回のアクセラレータープログラムにより、若手社員から「事業化できそうなアイデア」が生まれ、動き始めたことは組織文化にも良い影響を与えていると感じています。「会社が次のステージに進むためにも、若い人に技術提案をしてもらおう」と、イノベーション部とは別に若手・中堅社員を主体とした新しいワーキンググループが誕生しました。

私もそのワーキンググループのメンバーとしてアサインされており、様々な職種の若手・中堅社員と意見を交わしています。仕事はさらに増えて大変になりましたが、会社の未来を見据えて「こんなのがあったらいいね」という会話をする、未来志向でポジティブなプロジェクトなので、ワクワクしています。

こうした、職種や部署の垣根を超えて構成された組織は、これまでもワーキンググループ等でありましたが、その取組内容が事業化まで至るケースはほとんどありませんでした。
それが、Crewwとの出会いによって、アクセラレータープログラムを開催するという挑戦によって、イノベーションを起こす動きが加速し始めました。
長い歴史のある企業ですが、たった半年の間でこれまでなかった変化が生じていることを当事者として体感しています。

アクセラレータープログラムによって、私はすでに出来上がった事業を効率的に回していくよりも、何も決まっていないぐちゃぐちゃの状態から新しいものを生み出していくのが好きなんだとわかりました。とにかく新しいことが楽しい。トラスさんとの取り組みは、これから実証実験を始め、実現に向けた動きを加速していきます。これもまた待ち遠しいです。

もちろん、設計の仕事はとても深く、まだ経験していない用途や海外の案件など未知な領域がたくさんあります。だけど、設計だけをやっていたら「井の中の蛙」になりかねません。アクセラレータープログラムやワーキンググループでの取り組みによって実感しているのは、確実に視野が広がっていること。それを、本業の設計の仕事にも生かしたいと思っています。

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Tomomi Tamura
He joined Snow Brand Milk Industry in 2000. He then worked for an advertising agency and as a sole proprietor before joining BizReach in 2012. Engaged in content creation, he joined NewsPicks in 2016 as an editor on the BrandDesign team, and is now a freelance writer and editor.
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