タテからヨコへ変わりゆく世界

Challenge
以前、「会社はコミュニティ化し、仕事はプロジェクト化する」という記事をエントリーしました。あれから1年。2020年という、世界と日本にとって節目となるであろうこのタイミングで、急激に変わりゆく世界を私なりに考察し、「タテからヨコへ変わりゆく世界」という概念でまとめてみました。昭和〜平成を「タテの世界」。令和を起点とする未来を「ヨコの世界」と定義しています。

タテの世界

タテの世界とは、際限なくタテに伸びていく階層構造(ヒエラルキー)です。上と下の概念は、主従関係や強制力と相性が良く、約70年前の世界大戦時においては「国家(軍隊)」、60年前の高度経済成長期は「会社」が代表的な組織構造でした。

上から下へ働く重力は中央集権と金融資本主義を加速させ、誰かや何かとの比較を肥大化させるエンジンとなります。仕事はニュートンのリンゴのように上から落ちてきます。集団の中で、リンゴをキャッチする最も”課題解決”が上手な人間が上へ上へと駆け登り、管理がしにくい個性と美意識は同調同質の圧力に潰されていきます。

タテ型経営の行き過ぎによってビジネスパーソンは会社の歯車と化し、コンプライアンスの徹底によって決められたことしかできない、やらない思考停止状態に陥ります。地球においては資源の奪い合いと温暖化が加速化し、富と機会の二極化は国家の右傾化を招きます。これらは全て、際限なくタテに「伸び切ってしまった」社会のひずみだと感じるのです。タテを否定しているわけではありません。ただし、上と下の距離感はもはや限界に近づいているのではないでしょうか。

ヨコの世界

ヨコの世界とは、ヨコへヨコへと拡がっていく水平構造です。上も下もない概念には強制力が存在せず、故に、意義と意味、即ちビジョンの言語化が、「共働する唯一の答え」となっていきます。現代においては、共感資本主義をベースとした「コミュニティ」が代表的な組織構造と言えるでしょう。

水平に拡がっていく社会構造は、脱・中央集権と分散化を加速させ、何のために生きるのか、働くのか、人びとはいついかなる時も行動の意味と意義を問われるようになっていきます。ティール組織、SDG’s、ブロックチェーンといった新しい概念は、ヨコの世界を象徴する「新しい時代の言語」ではないでしょうか。

仕事は上から落ちてきません。よって、自ら価値を定義・創造しなければいけません。課題解決の上手なコンサルタントの需要が無くならない一方で、価値創造に挑戦するイノベーターの需要が地球規模で求められる時代になっていきます。

タテ型経営に固執する会社は、昭和〜平成の終焉と共にその役割を終えるでしょう。数十年後は、国家ですらその例外ではなくなるかもしれません。タテとヨコを融合する会社(国家)は、いつしかその組織構造が「コミュニティ」になっていることに気付きます。私たちは、タテとヨコの世界が混じり合うその転換期に生きている、歴史の証人であるかもしれないのです。

私たちは、課題解決のために生まれたわけではない

皆さんが今、人生の時間を費やして頑張っている仕事とは、自分で決め、言語化し、定義したものでしょうか。私自身の経験も踏まえて言わせていただければ、大半の仕事は、上から振ってきた、「誰かにお願いされた課題解決」であり、雇用とは、時間を企業に捧げる働き方ではなかったでしょうか。

私たちは、課題解決のために生まれたわけではない。

私が尊敬する先輩が教えてくれた識者の論文に、次の一節があります。「私は、これからの若者や、やがて生まれ来る新しい命に対して、”申し訳ないが、この世界に生まれた以上、あなたは解決すべき問題を持っている”とは言いたくない。人生とは贈りものであり、可能性が大きく開かれた機会だ。問題やニーズより大切なものがある。もしあなたが問題解決をしたいのであれば、愛について考えるのは避けた方がいい。問題解決と愛は両立しない」。

タテからヨコの世界に変わりゆく昨今、人は、ニーズではなく目的によって突き動かされ始めています。目的とは何でしょうか。ビジョンです。

会社員は消え、労働法は無くなる

雇用労働は徐々に減少し、自営的労働は徐々に増加していくでしょう。これは、先進諸国に限らない全世界的な流れとなるはずです(どの国においても個人事業主の比率は5割に近づくという論拠が存在しているようです)。金融資本主義における労働とは、ほぼ、株式会社の労働と同義でした。数十年後、会社員という言葉は消え、労働法も見直されている可能性は高いと感じています。

会社はコミュニティ化し、仕事はプロジェクト化する

以前のエントリーの再掲です。タテからヨコへ変遷する未来、仕事の大半はビジョンドリブンになっていきます。当然ながら、「ビジョンが重なり合う」人たちと仕事を共にする機会が多くなり、会社はコミュニティ化していくでしょう。未来を担う若者は、企業にコミュニティとしての価値を求めるようになっていくはず。在校生・卒業生が一体となってお互いを励まし合い支え合う「慶應三田会(あくまで例えです)」のような会社の価値が高まる一方で、卒業の切れ目が縁の切れ目という会社は人生の一定期間「属する価値」が無くなります。人は、共感する複数のコミュニティで共働し、ビジョン起点のプロジェクトが絶え間なく続く時代となっていく。私はそう期待しています。

ヨコの世界で必要となるスタンスとスキル

階層構造から水平構造へと移行する昨今、必要なるスタンスやスキルも変遷していきます。私が考えるスタンスは、
①マウントを取らない(取る人には近づかない)
②ビジョン>ファンクション(ファンクションは大事、でもビジョンはもっと大事)
③好奇心を持つ(全ての起点は好奇心から)
上記の3つ。スキルは、
①受容力(否定せず、受け止める)
②共感力(ビジョンに傾聴し、共感する)
③言語化力(言葉にする)
の3つです。

予想ではありますが、受容、共感、言語化、コミュニティマネジメントに関する書籍や論文は増えていくはずです。当たったら褒めてください笑。

選択によって人生は決まる

かのハリーポッターで、校長のダンブルドアはこう言いました。「君が何者であるかは、君の持っている能力ではなく、君の選択によって決まる」。ヨコの世界では、能力を高めたところで人生は変わりません。自分起点で選択すること、決断することです。あなたは世界にただ一人。あなたの選択と決断を否定する人は、本来、誰もいないし、いるべきではないのです。

学生と社会人の境界線が無くなっていく

以前のエントリーの再掲です。学生と社会人。ビジョンとプロフェッショナリティに年齢は関係ありません。中学、高校の時分からビジョンを発信し、社会人とプロジェクトを共にする学生は増え続け、いつしか、「大学を卒業したら会社に就職する」という概念そのものが形骸化していくはずです。受験とは何でしょうか、学生とは何でしょうか。「何をもって社会人なのか」「オトナなのか」私たちは改めて向き合うことになるのです。

全ては、信頼と信用を育んでいくために

タテの世界では、信頼と信用を担保してくれるのは、「国籍」「学歴」「会社名」「職歴」でした。来たるべきヨコの世界、信頼と信用を担保するのはあくまで、自分の日々の決断とアウトプットです。ビジョンを発信しているか。受容・共感できているか。その継続と持続が人生を豊かにし、幅を拡げていきます。人格を磨く。一つひとつのご縁に心から感謝する。共感と共働を継続することで信頼と信用を蓄積していく。それは、明るい未来の入り口ではないでしょうか。

読んでくださってありがとうございます。皆さんと一緒に、未来の議論をしたいです。

追記:数多くの友人から「ヨコの世界の二極化」に関する指摘がありました。これからの未来、タテの世界とは異なる新たなひずみが生じていくのも、間違いないと感じています。アウトプットをすると受信してくださる方と出会えます。私自身至らず、また、言語化する自信がなかった点も踏まえて、皆さんと議論がしたいです。

執筆
渡邉 知 
株式会社ファイアープレイス代表取締役社長
1999年(株)電通国際情報サービス(ISID)入社。人事部採用グループマネジャーなどを経て、2008年より(株)リクルートへ中途入社。2011年よりじゃらんリサーチセンター エリアプロデューサー/研究員。2014年よりISIDオープンイノベーション研究所へ。ビジネスプロデューサーとして、主にICTを活用した地域コミュニティづくりに携わる。2015年、(株)ファイアープレイス設立。東京都観光まちづくりアドバイザー。静岡県地域づくりアドバイザー。(株)さとゆめ社外アドバイザー。

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